肝臓は 気を全身に生き生きと巡らせる
人間の体は、規則的に気血津液が巡っていますが、『血』は、肝臓が巡らせています。 肝臓が病気になると、
自律神経や中枢神経の一部、血液循環の調 節、血液の貯蔵庫としての働き、胆と表裏の関係にあり、筋や目と深い関係にあります。
「肝臓」は英語で〔Liver〕そして、「生命」は英語で〔Live〕。英語の語源では肝臓と生命というのは、共通のルーツを持っていて、肝臓=生きる人という意味にもなるそうです。
日本にも「肝腎要」「肝要」という言葉がある様に洋の東西を問わず肝臓は生命と結びつく、なくてはならない大変重要な臓器として認識されていました。但し、西洋医学で云う「肝臓」と東洋医学で云う「肝」とは概念が少し違ってきます。
西洋医学の場合「肝臓」に関する病変・病気と云うと、アルコール性肝炎、脂肪肝、A型・B型肝炎、肝硬変、肝臓ガン等「肝臓」の様々な病理変化となります。 東洋医学で云う「肝」という概念は「肝臓」を指すだけでなくもっと広い範囲でその働きを捉えています。
例えば自律神経失調、心身症、更年期障害といった神経・内分泌系の問題も「肝」の病変に含まれます。又、目の病気とか、頭痛、高血圧、胃腸病、女性の生理の問題、男性のインポテンツとかの問題も「肝」の範囲に含まれてきます。ですから東洋医学の漢方薬や鐵の先生方が脈診とか問診、切診等によって「貴方は肝が悪い」と言っても西洋医学でいう「肝臓」の病気だという事ではないのです。それでは東洋医学における「肝」という概念を分かり易く説明していきましょう。
「肝」の大きな働きとして 疏泄を主る
血を蔵ず の二つがあります。
排泄を主る(キーワードはノビノビ)
疏泄(そせつ)という言葉が日本語にないので少し解りづらいかもしれません。簡単に言うとエネルギー(気・血)を滞りなく全身にノビノビと行き渡らせるという事です。
東洋医学・東洋哲学には物事をイメージ的に類推していく様な所、いってみれば右脳的な所があります。五行説(木・火・土・金・水)というのもイメージ的に自然界を捉えて行く考えです。 「肝」は五行説では「木」に相当し、それは一日で言えば朝、季節でいえば春に相当します。これらは全て共通のイメージで繋がっています。
朝、眠りから覚めると手や足を大きく伸びをしますね。これも体中にエネルギーを行き渡らせようとする働きの一つです。又、春になって植物が地面から芽を出し、グングン成長して伸びていく働きもそうです。この様に「木」が四方八方に枝を伸ばしグングン広がって行くイメージというのが疏泄(滞りなく行き渡らせる)ということなのです。
「肝」の疏泄〔ノビノビ〕の働きは体の色々な方面に働いています。 ○精神・感情面 ○消化吸収の面 ○全身の気・血の運行の面
※そして、このノビノビとした働きを押さえつけるのがストレスなのです。
ストレスと肝 東洋医学では「肝」が一番、精神的なストレスを受けると考えています。ストレスはマインド(精神・感情)の自由なノビノビとした働きを抑圧します。ストレスによって「肝」としてのノビノビとした働きが抑圧された状態を「肝気鬱結」といいます。イライラとか脇腹・季肋部の張った感じとかが主な症状です。 「肝は将軍の官」と言われ剛の性質を持っていますから、ヤや実証として現れる傾向にありますが、「肝」の働きの弱い人は虚証として現れます。今でいう心因性の病気とか自律神経失調の病気とかも「肝」と大変深く関わってきます。 そして実証の症状が長く続いたりした場合、鬱帯して抑圧されたエネルギーが「火」「熱」の様な状態となりこれを「肝火上炎」といいます。 又、「肝気欝結」が胃腸に悪さをした場合を「肝気横逆」といいます。
肝気鬱血 実証 ○イライラ ○つまらない事でよく怒る。 ○ヒステリー。 ○脇腹や季助部が張った感じで痛くなる。 ○月経の周期が狂ったり、生理痛が強くなったりする。 ○月経時に乳房が張る、喉の異物感等の症状が現れます。 虚証 ○気がメイル、孤立して引きこもる、胸苦しい。 ○ユウツ感と情緒不安定 ○溜息をつく、しゃべりたがらない。
肝火上炎 症状 ○感情が爆発したり、怒鳴り散らしたりする ○すぐ頭に血が昇る。 ○顔や目が充血して赤くなる。 ○頭痛・眼痛・眠れない。 ○イやな夢を続々見る・めまい・耳鳴り。
肝気横逆 肝気欝結の状態が胃腸に悪さをした場合、次の様な症状も現れます。 症状 ○上腹部の膨満感、食欲不振、ゲップ、吐き気 ○悪心、口が苦い、下痢等々。 ※この様にストレスが胃に来るパターンは非常に多くみられます。
肝は血を蔵す というのは次の2つの意味があります。
◎「血液を貯蔵する作用」 ◎「全身の血液量をコントロールする作用」
以上の様な事は、現代の生理学からみても肝臓と血液というのは、深い関係がありますから理解しやすいと思います。肝臓は人体で最大の臓器です。重さは1.3〜1.5Kgで全体重の2%強に過ぎませんが、肝臓に流れる血液量は安静時で何と心臓の拍出量の28%もの血液が流れ込んでいるのです。(ちなみに脳の重さは全体重の2%弱で流れる血液量は約15%です。)そして28%の血液量の1/4は肝動脈からで、残り3/4が門脈からの血液です。門脈からは消化管で吸収された栄養が肝臓に送られ、様々な化学変化が行われ全身に循環して活きます。 ポンプ作用を行っているのは心臓ですが、最も栄養豊富な血液が集ま っているのは肝臓で、血液循環に関してお互いに協力しあっている訳です。
栄養は肝臓で様々な代謝を受けます。そして、血液内の成分は肝臓の働きにより一定に保たれ体全身の組織に行き渡ります。眠っている時には、肝臓に血液がたくさん集まるのが理想です。(寝る前に頭を使ったりすると十分に血液が肝臓に還らないので不眠になります)日中、身体の各器官が働く為には血液が必要です。肝臓からの栄養豊かな血液は全身の組織に循り、それらの組織を働かせるエネルギーの元となります。特に、目・筋(腱・靭帯)・爪は他の臓器に比べr肝」とより密接な関係があるとされています。
「肝は目を主る」 「肝」の働きが弱くなっておこる、次の様な色々な目の症状。 ○疲れ目、乾き目、カスミ目等々
「肝は筋を主る」 「肝」の働きが弱って《筋<腱・靭帯・筋膜>》へ栄養が回らなくなりおこる症状。 ○筋肉がヒキツル、ケイレンする、震える。 ○関節を曲げたり、伸ばしたりが十分できない等々。
「その華は爪に在る」 「肝」の血が足らなくなった場合に爪に現れる次の様な症状。 ○艶がない、青白い、モロイ等々。
「肝は血を蔵す」 「肝」が血液を貯蔵するという機能を果たさなくなった場合あらわれる症状。 ○吐血、鼻血、顔面部からの非外傷性出血、月経量の増加、病理性子宮出血等々。
以上の様な症状を大まかに言って「肝血虚」といいます。もう一度症状を復習してみましょう。
肝血虚 ○めまい、顔面蒼白、目が疲れやすい、爪や唇の色が淡泊、不安感、多夢、動悸 ○関節を十分に曲げたり、伸ばしたり出来ない、手足のシビレ、マヒ ○月経の量が少ない、月経の色が淡い等々。
それでは、この様になる原因を考えてみたいと思います。
★肝の血は常に不足になりがぢである 肝臓は人体に欠く事が出来ない重要な臓器だからこそ、安静時28%もの血液が循環しています。しかし、多くの理由によってその血は不足しがちとなります。いくつかの原因をあげてみましょう。
@脾胃虚弱(消化器系が弱い) 東洋医学の考え方では脾胃(消化器系)は後天の本とされ、体のエネルギーの本となる気・血は消化された食物のエッセンスから作り出されるとされています。この働きは、脾・胃が丈夫であるかどうかに関わっています。日本人には脾胃の弱い人が多く、同じ物を食べても十分に消化・吸収して気・血を十分に作り出せない傾向にあります。
A門脈の仕組みから来る問題 「静脈は重力に逆らって上って行く事になるから大変流れにくく、欝血しゃすい」という問題です。門脈の循環は、胃腸のゼン動運動・呼吸による腹圧・腹力といった要素が流れを良くすると考えられています。「肝」を考える上で、門脈循環を良くするという事は見落としやすい大切なテーマだと思います。
Bその他として、 ○食べ物の問題 ○女性の生理の問題 ○過度の頭の使いすぎ ○肝気鬱結によって、気血の流れが滞りオ血となっている場合等があります。
■ゲルソン療法より豆知識「がん食事療法全書」より引用 「胃・十二指腸炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆嚢炎・胆道炎・膵臓炎・直腸肛門炎その他の病名で呼んでいる病気の代謝の乱れの症状は、肝臓機能のトラブルと、門脈圧冗進症に始まるダイナミックなプレセスの1つに姿にすぎないと思われる。」
★経絡からみた肝の症状 「経絡」というのは、全身のエネルギー(気・血)の流れるルートで五臓六腑と深く結びついています。「肝経」というのは「肝」に関わるエネルギールートです。「肝」に問題があると「肝経」にそって症状が現れ易くなります。それでは下の図を参考に症状をおってみたいと思います。
◎頭痛(前頭部、コメカミ、頭頂部) ◎目の病○疲れ目、乾き目、充血。 ◎顔のシミ ◎ノドの乾き・異物感。 ◎乳房が張る・痛む。 ◎肺での症状○気管支炎・皮膚病・肺の疾患等。 ◎季肋部での症状○季肋部の腫れ、痛み。○肝臓・胆嚢・胃腸疾患。 ◎泌尿・生殖器・下腹部の症状。 ※ここは「肝経」の流れの中でも重要なポイントであり、病症の面でも大変重要です。「肝経」は下腹部で泌尿・生殖器を循っていてr血に関する病」と深く関係しています。男性・女性の泌尿・生殖器の問題は多く「肝経」が関わってきます。 ○おしっこの出が悪い、尿道炎、睾丸炎、陰部の痛み、睾丸炎、淋病。○月経不順、月経痛、子宮内膜症、更年期障害、帯下等々(「肝」は女性の先天の本と言われ婦人病一般に広く用いられています。) ◎大腿内側のヒキツレ、痛み。 ◎内くるぶし前部の痛み。 ◎親指の硬直、痛み。 ◎その他、腰痛、鼻血、不眠、自律神経失調等々。

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